Works|演奏作品

Longing from afar

Composer藤倉大
Duration10'00''

作品について

新型コロナウイルス感染症の拡大により、移動の自由が制限され、人と対面で会うこともままならず、ほぼ全ての音楽家が活動を縮小せざるを得なくなった2020年。この作品は世界的指揮者である山田和樹氏の「リモートで演奏でき、できれば指揮者も入った作品を」というアイデアを受け作曲された。作品も山田和樹氏に献呈されている。リモートとはつまり、ZoomやSkypeなどのオンライン通話サービスを用いて、世界中の奏者と同時に演奏するということである。アンサンブルの成立条件である「空間の共有」ができない時期において、先述のテクノロジーによりアンサンブルを成立させる試みといえるだろう。オンライン通話サービスの仕様により完璧に縦を合わせることは出来ないが、作曲者はそれも演奏における個性として認めている。

さて、この作品はいずれの楽器や声で演奏してもよく、実際に多様な編成で演奏されてきた。作曲者は、このような楽器選択の自由な形式を「オープンなスコア」と呼んでいる。「オープンなスコア」には図形楽譜やテキスト譜が用いられることが多いが、それらとは逆に音高を明示することを重要視して作曲したという。余談だが、一般にフレックス編成は「オープンなスコア」の条件に当てはまるものの、図形楽譜やテキスト譜で記譜する可能性は大抵検討されない。本公演においては《mimesis II - 複数の管楽器のための》が唯一音程の明示されていない作品である(もっとも、この作品も「フレックス編成」という枠組みを念頭に置いた作品ではないのだが)。本公演に先立ってSymnapseがYouTubeに投稿した動画「フレックスってなあに?」では、「オープンなスコア」の領域にも足を踏み入れつつフレックス編成について論じているため、ぜひご覧いただきたい。

本公演では、リモートではなく「空間の共有」もされた演奏を行う。ある意味で作品の文脈から離れた演奏ではあるが、「空間の共有」ができる喜びを噛みしめながらお聴きいただきたい。(飯田)

編成

  • Flexible