Works|演奏作品
ラ・パラード
作品について
「青年ラヴェルの謎多き記録」
この作品には不明点が多く残されています。ペンネームで書かれ、出版も21世紀に入ってからですし、楽譜自体もかなり大雑把に書かれている印象を持ちます(出版譜でさえ怪しい点が多く、今回編曲に当たって相当数の修正を加えました)。もしかするとラヴェル自身はこの作品を掘り起こしてほしくはなかったのではないだろうか?……と思うとやや申し訳ない気持ちにもなりますが、それを押してでも本作品を取り上げたのは、なんといっても吹奏楽にあまりに向いている楽想の連続だったからです。
本作品はバレリーナのA.ムニエ(1877–1972)の台本によるバレエと考えられており、舞曲や劇付随的楽想が連なった音楽です。舞曲は歴史的にも音響的にも吹奏楽の得意とするところですし、バレエやオペラなどのダイジェスト・メドレーもまた吹奏楽が長らくレパートリーとしてきた分野であり、いち吹奏楽作品としても十分楽しく聴くことができるのではないでしょうか。
「若書きフレッシュ舞曲メドレー」
本作品は行進曲によって始まります。この部分は楽曲全体を通して現れ、ともすると散漫になってしまいそうなメドレー的な構成の作品をまとめ上げています。
その後「Scène I」と記されたコミカルな場面に転換します(Scène II以降はありません)。ころころとテンポや表情を変え、重々しい部分、レチタティーヴォ風の部分、コラール風の部分……と節操なく続いていきます。その後、おもちゃの行進のようなセクションに続き再度行進曲が現れると、場面はワルツへと転換します。合間に行進曲の断片が何度か挟まると、突然マズルカ(!)が始まります。その後、新たなワルツが始まり、先ほどのワルツが移行部的に再現され、クライマックスが形成されると冒頭の行進曲に回帰し幕を閉じます。
作品全体を通して、フランスの先輩作曲家たちのオマージュをより強く感じる作品です。その一方でどこかパロディ的にも感じられ、そのバランスにラヴェル自身の性格が強く現れているように思います。
【編曲にあたって】
行進曲はいわゆる吹奏楽的な響きを目指し、あえてたくさんの楽器を重ねることで行進曲がもつ実用音楽の側面を強調しています。一方で、ワルツはできる限り歌い込めるような楽器選択を心がけました。
曲を通して、ピアノ独奏でありながらラヴェルが想定していたかもしれない楽器の色彩の広がりを想像しながら編曲しました。
初演情報
- 演奏会
- 第3回演奏会
- 初演日時
- 2025年3月7日