Works|演奏作品
ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ
作品について
「ラヴェル最後の作曲作品」
この作品はイギリスの映画会社からの依頼で書かれました(作詞はフランスの作家・外交官であったP.モラン(1888–1976)による)。ロシアのバス歌手F.I.シャリアピンを主役に据えた映画でしたが、ラヴェルは2ヶ月間の作曲期間を経て締め切りに間に合わせることができませんでした。映画にラヴェルの楽曲は使われず、代わりにJ.イベールが5つの歌と付随音楽を作曲しています。
初演は管弦楽版が先に行われ、若いフランスのバリトン歌手M.サンゲが独唱を務めました。
ラヴェルはこの作品の作曲を進めている間にタクシー事故に遭ってしまい、体調を徐々に崩し、ついには作曲ができなくなってしまいました。しかし、そのような最期とは裏腹に、音楽はひたすら陽気に進んでいきます。
「愛とロマンの大ぼら男、ドン・キホーテ」
〈空想的な歌〉では8分の6拍子と4分の3拍子が交互に現れ、ドン・キホーテの大ぼらが豊かに表現されます。
〈叙事詩風の歌〉では、祈りと告白をゆったりとした音楽で歌い上げます。
〈酒の歌〉は快活な音楽で、酒に酔った男の様子が目に浮かぶようです。ラヴェルは、モランの詩に対してリフレインの最後の言葉を強調しています(掲載している訳はラヴェルが楽曲で用いた通りとなっています)。
《フランス歌曲の演奏と解釈》(P.ベルナック著、林田きみ子訳)によると、曲順に「グァヒラ(Guajira)」、「ソルシカ(Zorzica)」、「ホタ(Jota)」と、いずれも(ラヴェルのルーツである)スペインの舞踏に基づいています。また、和声進行も大枠は極めてシンプルであり、そこにラヴェル独特の色が加えられています。
【編曲にあたって】
「ダンス」と「うた」の2つによって成立している作品で、これらの要素は吹奏楽にもぴったりです。
とくに「うた」に関しては、演奏者がより大らかに歌えるように、あるいは演奏者の歌をよりたくさん聴けるように振り分けています。
今回のプログラムの中で唯一ラヴェルが関わった管弦楽版が存在しますが、これは歌曲伴奏の形をとっているために管弦楽の表現が抑制されています。楽曲の持つ活力や色彩を最大限引き出すべく、今回は歌のパートも含めて吹奏楽編曲しています。
また、楽章ごとの性格の違いの強調を意識し、とくに〈酒の歌〉では装飾的な音を積極的に足しています。
初演情報
- 演奏会
- 第3回演奏会
- 初演日時
- 2025年3月7日